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TUGUMI

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今回の落ちこみモードを救ってくれた一つに本がありました。

それはよしもとばななの「TUGUMI
ちょっと前に、軽いノリで、「うたかた・サンクチュアリ」を買ったら
先に読んだ長女がおもしろかった〜と言ってて、(私はまだ読んでなかった)
長女が知人に借りた「TUGUMI」がダイニングにありました。
久々の小説。表紙綺麗だし、無性に読みたくなって。




よしもとばなながブレイクした頃、つまり私が若かりしころ
ぱらり、と読んだものの(たぶん「キッチン」)なんかピンとこなくて
投げ出した記憶があります。
ぶっちゃけ、「え〜こんな読み捨て少女マンガチックなもん文学ちゃうやん」とか
ちゃんと読みもせず、若気のいたりで、思っていたのねん。

今思えば、なんて残念な。というかアホですね。
いい年こいて、キラキラしたばなな氏の感性にやっと目覚めました。
(ばなな、という名前もおめ〜ふざけやがって〜!とか思っていた)

なにがいいって、つぐみのキャラ。
つぐみは病弱で、医者から短命宣言され、周囲が甘やかすのでわがままに育ち
可憐な容貌なのにぶっきらぼうな言葉づかいだし、
「人のいちばんいやがることを絶妙のタイミングと的確な描写で
ずけずけ言う時の勝ち誇った様は、まるで悪魔のようだった」
と海辺の旅館に一緒に住む従姉妹であるまりあの視点で描かれるのです。

いいですね〜
このスケ番(死語?)キャラ。
でも、この捻れた、しかし、拗けていないつぐみに共感だわ。

いつも死と向きあっている、あの世とこの世をいったりきたりしている少女。
凡人のように「ありもしない死」に脅えることなく表現できるのだなあ。
まったくの「今」を生きている人間として、まりあを初めとするごくわずかな人間から
深いところで認められ愛されてているのでしょう。

家族、地域、会社そんな日常のなか「みんなと共に生きている」といった
共同幻想をきっぱり否定し、つぐみは常に、孤独と向きあっているのでしょう。
「怖い」とかそういったものじゃなくて、腹をくくっている。覚悟というか。
圧倒されます。そりゃ、まわりはつぐみのぎょっとするいたずらに卒倒するよな〜

海辺という舞台にも、あの世的な入り口が開いている感じがしました。
実際、つぐみは「今」を生ききって、本当に「死んで」また新しい人生を始めます。
「生と死」、「死と再生」を、描いている作品と思います。

ホメオパシーの学校の学長先生は、患者さんにレメディーだけでなく、
「映画」や「本」や「音楽」などを「処方」されるみたいです。驚きでしょ。

登場人物どの人の質も、この本のテーマも。
私にとって、「TUGUMI」はレメディーになったようです(^_^)v
セルフ処方だけどさあ・・・
by miroku-ai | 2007-06-13 17:04 | プラスαな本


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